Adobe MAX2023キーノートで発表された新機能から注目のものをご紹介&実際に使ってみた!
ソニックムーブデザイナーのがみ&cakeです。今回は先日のAdobe MAXに行ってきた記事の続きで、キーノートで紹介された新機能から注目のものをご紹介します!
キーノートとは、カンファレンスやイベント、開催されるセッションやプログラムの主催者から参加者に向けたメッセージやテーマという意味です。これからのAdobeの動きやこのようなものを提供していきたい!という熱い想いがぎゅっと詰まった講演になっていました。
目次
AI生成関連の新機能が目白押し
前回の記事でも触れましたが、今回のキーノートではAI生成を活用した機能を主にして大幅なアップデートがされていました。
少し怖くなるくらいあらゆるツールが作業を自動化していたのですが、AdobeのメッセージとしてAI生成を組み合わせて時間がかかっていた面倒な作業の効率化をはかってクリエイターがさらに活躍してほしいという姿勢は一貫していたと思います。実際かゆいところに手が届くな〜という機能も多かったです。
今回はそんな機能を実践も交えながらご紹介いたします。
Photohopの生成塗りつぶしで画像合成が捗る!
PhotoshopはAIによって自然な合成と、何もない「無」からモチーフの生成ができるようになりました。
主な機能としては
・生成塗りつぶし
・プロンプトによるオブジェクトの自動生成
・背景の削除(従来の「被写体を選択」を一発でマスクまで実行するみたいな感じ)
などです。見ていただいた方が早いと思うので早速実践します↓↓↓↓
生成塗りつぶしで画像合成
まず合成したい画像を用意します。
こちらの夜の星空と昼の雲の画像を合成してみます。(写真はぱくたそ様よりお借りしました)
カットして上下に配置しました。間の余白を選択ツールで囲むと「コンテキストタスクバー」(名前が呪文みたいでカッコイイ)が出現するので「生成塗りつぶし」ボタンを選択します。
間を馴染ませるだけなのでキーワードは入力せず「生成」を選択します。
3枚候補が出てくるので好きなものを選びます。これで合成ができました。(3枚の中に気にいるものがなかったらさらに「生成」を選択で候補が追加されます!)
コンテキストタスクバーは選択ツールで何も選択していない場合は下記赤枠の状態になり、被写体の切り抜きができます。試しに黒い背景つきの月の画像を配置して「背景を削除」を選択します。
ワンクリックで月が合成できました!(月の輪郭ぼかしも合成時一緒にかけられるので少しかけています。)
プロンプトによる生成
お次はプロンプトによる生成をやってみましょう!
テキストの自由入力で好きなオブジェクトを出現させてみます。選択ツールで好きなスペースを選択して(ここまではさっきご紹介した合成と一緒です)キーワードを入れます。
フライドチキンでもロケットでも好きなものが生成できました。
(唐揚げと入力したのですがまだあまり日本文化に馴染んでないみたいです)
また、生成オブジェクトは選択ツールでの囲み方をシルエットとして多少参照するっぽいので、画像のロケットは長方形、フライドチキンは正円の選択ツールで囲んで出てきた結果になります。
既にオブジェクトがある箇所も同じように囲って置き換えるように生成することができます。
こんな感じ。最初に合成した雲の写真部分を地球に変えてみました。ついでにロケットも衛星に。
自動塗りつぶしはこのように上から違うオブジェクトで置き換えたり、(上に新しいレイヤーで生成されるので元の画像も残ってます!)元画像を参照して画像の足りない部分も補うことができます。
例えば…
足りない部分の補いといえば、デザインを作るとき横長から縦長にしたいな〜とかもう少し対象物映り込ませたいな〜ということってありますよね?カンバスサイズを変更して自動塗りつぶしで余白を補ってもらいました。なんと!地球の輪郭もちゃんと自然な形で生成されています。一瞬でサイズの変更に対応できるので代わりの画像を探したりする必要がありません。めちゃ時短。
以上Photoshopのアップデート内容実践まとめでした。複数枚の画像合成なんかはすぐに実務で使えそうですね!(キーワード生成はいかにもなAIオジェクト感がまだありますが・・・)
Illustratorだけでベクターデータ作成からモックアップ画像まで完結できる!?
Illustratorも、AI生成と組み合わせた新機能が盛りだくさんで、こちらは現在ベータ版として使えるようになっています。それらを実際に触ってみました!
主な機能としては
・AI生成機能によるベクター生成
・モックアップ機能
・フォントの抽出・再編集
です!
AI生成機能によるベクター生成
こちらは言葉通り、プロンプトに作りたいベクターのキーワードを入力するだけで、簡単に生成してくれる機能です!
試しに「うさぎ」というキーワードを入力し、生成ボタンを押すと、下に複数のバリエーションでベクターを生成してくれます!再度生成ボタンを押すとさらにバリエーションを増やすことができます。
さらに!生成されたベクターデータを選択し「再配色」を選択すると、簡単に別のトーンやカラーに変更することもできます!めちゃ便利。
また「スタイルピッカー」という機能もあり、参照画像やアートワークを選択して生成すると、それらにあったテイストや配色でベクターを生成してくれます。こちらも試しに今回のAdobe MAXの会場内写真を選択してみたところ、近しいカラーで生成してくれました!
モックアップ機能
モックアップ機能は、写真内にベクターオブジェクトを立体的に配置できる機能です。写真はライセンスを取得すればAdobe Stockの素材も使用できます。
こちらも、今回撮影した写真と先ほどのうさぎで試してみましょう!
まずはモックアップを作りたい写真とベクターオブジェクトを選択し「オブジェクト」→「モックアップ(Beta)」→「作成」を選択。
写真の中にベクターオブジェクトが配置されました!写真は平面なのに、面を理解して角度をつけてまるで立体的に自動で配置してくれます。これでIllustrator上だけでモックアップを簡単に作成することができます。
もちろん、ベクターオブジェクトのサイズも自由に変更できますし、何よりこの”2D上の面を認識する”というのがすごいです!試しに床の方へ移動すると、ちゃんと床の面に合わせてベクターオブジェクトが自動で配置されました!
フォントの抽出・再編集
この機能は前から欲しかった方が多いのではないでしょうか。ラスター画像で使用されているテキストや、アウトライン化された静的テキストを識別し、編集可能なテキストに戻してくれます!
※2023年11月現在、Beta版は欧文テキストのみサポートされています。
今回はラスター画像からフォントの識別を試してみましょう。会場の写真から赤枠で囲っているフォントに近しいフォントはどれだろう、と探してみたいと思います。
ラスター画像を選択した状態で「書式」→「Retype(beta)」を選択します。すると画像からフォントを識別し、一致するフォントの候補を表示してくれます!
変換したいテキストレイヤーを選択した状態で、検出された候補をクリックすると、近しいフォントに変更されました!すごい!!
同じようにアウトライン化されたデータを選択して「Retype」をすると同じように検出してくれます。これで納品されたデータがアウトライン化されていて急な文言変更に対応できない!という”あるある”な課題に対応できます。まだうまく検出できないことも多いので、これからのアップデートに大きな期待です!
ノンデザイナー向けからデザイナーとの連携ツールになったAdobe Express
今回Adobe Expressが大幅にアップデートされていて興味深かったのでこちらもピックアップします。
サービス開始時はあくまでノンデザイナーがデザインするためのツールという感じでしたが、今回はデザイナーが作成したデザインをマーケティング担当の方が複数メディアに展開させるために編集する、という方向にパワーアップしていました。
Photoshopやその他デザインツールでもデザイナーがデザインしたものを運用の都合上他の方にお任せすることってあると思うのですが、ぶっちゃけ変な仕上がりになっていたりすることってありますよね・・・
(元々のオブジェクトが見切れてるとか表示させないはずのものが表示されてたりとか)
Adobe ExpressではIllustratorで作ったデザインを読み込んで自動で各種SNS用にリサイズ版を自動作成できます。やったー!
また編集する必要のないオブジェクトにはロックがかけられるので、デザイナーは安心してデータを渡せますね。
当日のライブ発表ではillustlatorのデータを読み込んでオブジェクトにぽよぽよ跳ねるアニメーションをつけたり、テキストの複数言語翻訳版を即時に作成していました。
出来上がった画像をSNSに予約投稿することまでそのままできます。カレンダーで予約投稿が一覧化されるのもありがたい!Adobe Express、SNS告知にピッタリのツールとなっていますね。
なんだか変に企業の回し者っぽくなってしまいましたが純粋に実用的で感動したのでご紹介しました。
動画系などその他ツール
その他のツールにもアップデートがありましたので、ピックアップしていきたいと思います。
Premire
Premireで注目すべきは動画音声からの文字起こしですね!自動で文字を起こし、さらにその文字を削除すると該当の動画箇所も勝手に切って繋げてくれます!!何分何秒〜ここまでを〜なんて細かい調整をしなくても簡単に動画編集ができてしまいます!すごい。
さらに、フィラーワード(えー、あのーなどの言い淀み)を自動検出し、一括削除もできます。動画編集者にとってはとても便利な機能ではないでしょうか!(今度Premireじっくり触ってみたいなと思います)
After Effects
After Effectsではロトブラシがアップデートされ、ざっくり選択するだけでも、人物をしっかりと認識し、これまでトラッキングするのが難しかった複雑な動き(下の例では腕がクロスしてくっついたり離れたりする動き)も綺麗に検出してくれます!
Adobe Firefly Image 2 Model
生成AI「Adobe Firefly」の初代モデルをベースに開発されたものです。Adobe Firefly Image 2 Modelでは、まるで本物の写真のようにリアルな画像を生成できるようになっています。さらに、単純に生成できるだけではなく細かいシーン設定もできるそうです。カメラで撮影を行う時の”絞り”や”シャッタースピード”などを設定し生成することができるので、躍動感のある画像も簡単にできあがります。もう本当に撮影されたものかどうかがわからなくなりそうです。
Project Stardust
Project Stardustは、生成AIを使用して画像編集に革命をもたらす強力な新しいオブジェクト認識編集エンジンです。アメリカのAdobe MAX 2023にて先行公開されました。
日本のAdobe MAXでもデモを拝見しましたが、例えば人物が重なり合った写真の、見えない箇所を認識して画像を生成したり、写真の手前にあるオブジェクトを認識してその裏に別のオブジェクトを重ねたりしていました!こちらも上手く使えると今後の写真編集やトリミングがとても楽になるなと感じました。
まとめ
キーノート自体はyoutubeでも公開されていますのでもっと詳細を見たい、自分も新機能を試してみたい!となった方はぜひご覧になってみてください↓↓
【Adobe MAX Japan 2023】キーノート|アドビ公式
いかがでしたでしょうか!まだBeta版も多く、実際に自分で触った時に上手くいかないこともありましたが、どの機能も”面倒で意外と時間がかかるな”と思っていたかゆいところに手が届き、AIと上手く共存するワクワクしたアップデートではないかと個人的には感じました!
誰でもクリエイターになれる時代が来たと言われて久しいですが、日に日にあらゆる人々が膨大な量のコンテンツを生み出せるようになってきたように思います。将来的にはAI vs 人間の構図ではなくAIを使った人間同志が手を取り合う共同作業が生まれていくようになるのかもしれませんね。日々アップデートをインプットしてきたいですね。